第2話

 捺印が済むと、すぐに別室に案内された。
 はぁ、しかしハンコを持って歩いていて良かったよ。
 別の消費者金融でキャッシングして凌ぐ方法も視野に入れてたから、一応ハンコを持ち歩いていたのが幸いした。

 案内されたのは、音楽スタジオのような完全防音の部屋。
 椅子というのは産婦人科にある分娩台に近い…気がする(分娩台をちゃんと見たことないから、気のせいかも知れないけれど)。

 その椅子を囲むように、ビデオカメラがいくつか設置されている。
 ハンディカムみたいな安っちいカメラだけどホントにこれで撮るのか。
 何だか安く見られてる気がするけど、安く雇われてるんだから仕方ない。

 椅子に座らされると、まず両腕と両脚を幅太のビニルテープのようなものでグルグル巻きにされる。
 拘束が完成するとまるで電気椅子に固定された囚人のような心境だ。どんなに力を込めても台がきしむだけでまったく動きやしない。
 私はこの時になってようやく緊張感が増してきた。
 気のせいか冷や汗が噴き出してきた気がする。

 続けて、問題の「電動式震動装置」とやらが部屋の中に入ってきた。
 まるで砲台のような大きな台座だ。キャスターで移動できるようになっている。
 大砲のような形をしてるのは棒状の機械で、その先端には人間のおマタにすっぽり収まるようなゴム状の受け口が付いている。大砲(のようなもの)は高さや角度などを微妙に調節することが可能らしい。
 あれが私のおまんこにくっついて震動するんだろうか…? 

 係の人が移動砲台をガラガラと引っ張ってきて、受け口を私の無防備なお又に押し付けるように取り付け、キャスターを動かないようにロックする。
 ゴム状の受け口が私のクリトリスからおまんこの部分までしっかり押し付けられる。

「脱がなくていい」という最初の約束通り服はそのままで良かったが、ジーンズのチャックは開けられ、装置はしっかりとパンティ越しに押し付けられて固定された。感触は以外と悪くなく、ゴムよりも柔らかい…こんにゃく?あるいはスライム?うーんうまく言えないけど、冷えピタを貼ったような、なんだかヌルっとしたものに包まれている感覚だ。強く押し付けられているのに、不思議と異物感というか圧迫感はなかった。

 さらに装置と椅子が金具で固定され、これで私がちょっとくらい暴れても装置は絶対にずれたりしないようになった。

 …これってどこかの映画で見たような何かの拷問?もしくは処刑?

 椅子には左手を伸ばすと何とか押せる位置にスイッチが据え付けられていた。そこからはコードが伸びている。これが緊急停止スイッチ?先ほど書いた契約書の内容通りならこのスイッチは無効化されているはずだけれど、何で外されてないのだろう。

 今度は係の人の手が私の顔に伸びた!
 きゃあ何なのよ!!
 …と、次の瞬間、私の目の前は真っ暗になった。そっかそっか、アイマスクをオプションで選択したんだもんね。でもいきなり手を伸ばすことはないだろう。女の子に触れるときは声くらいかけなさいよ。驚いたじゃない、ホントにもう。

 続けて今度は口の中に指を突っ込まれた。まるで歯医者みたいだが、歯医者にこんな拘束された状態で治療受けたらたまったものではない。どうやら歯ではなく舌に何か硬質のケースを取り付けた感じだ。どうやらこれは舌を包み込んでガードするためのものらしい。 係の人によれば、たまに舌を噛み切って楽になろうとする被験者がいるので、その対策として行なう措置のようだ。どんだけ過酷な拷問だよそれ。

 今回のお仕事では、被験者(私だ)が時間中にどんな言葉をしゃべったかをデータ化する必要があるらしく、そのためにまったくしゃべれなくなる猿ぐつわのようなものでは先方にとって都合が悪いらしい。
 発声テストをするよう言われた。「あめんぼあかいなあいうえお」うん、しゃべれないことはないけど、ちょっとモゴモゴするかな。

 それにしても。
 目も見えず、しゃべる口にも仕掛けを施され、だんだん私の心の中が恐怖の闇で塗り詰められていくのが分かる。
 微妙に怖い。
 でも表情には出したくないので、なるべく平静を装う。
(アイマスクをされているので、表情なんて分からないはずだが)

 続いて係の人から簡単な説明があった。
 内容はこうだ。

 ・勤務時間は18分間である。
 ・勤務内容は時間中ここに座っていること。ただそれだけである。
 ・説明が終わったらスタッフは部屋から退出、ここは被験者(私)だけとなる。
 ・扉はオートロックにて施錠され、震動装置の電源は遠隔操作によって投入される。
 ・経過時間は1分毎にブザーによって知らされる(アイマスク着用のため)。
 ・オプションの適用により、緊急停止スイッチへの通電は切られている。
 ・オプションの適用により、正確に5分毎に震動の強度が自動的に増す。
 ・時間中に意識を失った場合は「職務怠慢」と見なされ報酬はゼロとなる。
 ・それ以外なら被験者の状態如何に関わらず勤務状態は継続される。
 ・所定の勤務時間を勤め終えたら、契約の賃金を現金にて支払う。
 ・一切の質問やキャンセルは認められない。

 分かっていることばっかりだ。もういい加減早く始めて早く終わってほしい。とにかく18分耐えればそれでいいんでしょ。勿体付けないで早くしろよ。

 「ではどうぞごゆっくりお過ごしください…」
 説明を終えた係の人が出ていき、扉が閉まる音が聞こえた。
 何がごゆっくりだこのサディストめ。

 部屋は不気味な静寂に包まれた。
 …。
 …。
 あれ?
 で、結局いつ始まるわけ?これ。

 何だかこの「間」がイヤだ。
 ジェットコースターが動き出すのをじっと待っているかのような。

 と、そのとき、耳触りな「ピッ♪」という高い音が聞こえた!
 「!!!!」?

 「ピッ♪」(10)
 「ピッ♪」(9)
 「ピッ♪」(8)

 …もう何のことだか分かってしまった。これは開始の秒読みなのだ。
 いまになって、情けないことに歯がガチガチ震えだす。

 「ピッ♪」(7)
 「ピッ♪」(6)

 胸が不安でいっぱいだ…。
 いま何カウント目なんだろう…。数えそびれてしまった。

 「ピッ♪」(5)
 「ピッ♪」(4)

 何だか突然オシッコしたくなってきた…。
 トイレ事前に行っときゃ良かったぁ。
 緊張のあまりだろうか。でももう後の祭り。

 「ピッ♪」(3)
 「ピッ♪」(2)

 思わずギュッと目をつぶる。怖い。
 あぁこんなバイトやんなきゃ良かった…。

 「ピッ♪」(1)
 「ブー!」(0)

 大きなブザー音と共に、その部屋の静寂は一瞬にして破られた。
 電動震具の激しい震動音と私の喉から放たれる叫び声は、ほぼ同時に部屋中を覆い尽くした。

 「!!!いやあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――!!!」

 

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『性感反応被験体File No.01-a 女子大生(19)』

著者 渡硝子の性感反応駆け込み寺 渡硝子

女性の性感・快楽に関する悩み「どうしてイケないんだろう」「私って不感症では」等に対し、渡硝子の経験に基づくアドバイスを行なうページです。

 

 

 

 

 

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